Give up/山際淳司

 

Give up オフコース・ストーリー (角川文庫)
 

 

 コロナ禍の引き籠もり状態になってから、沢木耕太郎さんだったり、開高健さんだったりと、学生時代から社会人になったばかりの頃に読んでいた本を引っ張り出して、オフコース甲斐バンドなどといった、その頃に聞いていた音楽を聴きながら読んでいたのですが、Number関連の本を紹介しながらオフコースを聴いていて、そう言えば『江夏の21球』の山際さんがオフコースの本を書いていたなあと思いだして、結構プレミアがついて高くなっていたのですが、Amazonの中古本を取り寄せて読んでみました。(Kindleで読めば安くあがるのですが、未だに端末で本を読むということに慣れられない、アナログなじいさんでした…)

 

 この本は、1982年に初めて日本武道館で10日間のコンサートを行っていた時期に、実はその裏側で、オフコースは解散に向けての葛藤の下にあったことを紹介された内容の本となっています。

 

 ワタクシ自身、その時期からオフコースを聴き始めたのですが、『さよなら』のヒット後、『We are』『over』という日本の音楽史上に残る名作アルバムを作りつつ、主要メンバーであった鈴木康博さんが脱退の意向を示し、長らく活動を共にしてきた小田和正さんが、鈴木さん無きオフコースはあり得ないということで、解散の意向を示していて、1982年の武道館ライブを最後に解散をしようということで準備を進められていて、そのドキュメンタリーとなっています。

 

 鈴木さんが脱退の意志を示されたということなのですが、だからといって感情的なもつれたあったわけでもなく、そういった話があってからも『We are』『over』という名作を作り上げる結束を見せ、さらには10日間の武道館ライブを成功させるという成果もあげるなど、音楽的にも人間関係的にも成熟したところを見せていて、結局その後、オフコースは解散することなく、鈴木さんを除いた4人で活動され、鈴木さん自身もソロとなって活動される訳ですが、双方ともオフコース時代のような際立った成果を残すこともなかったことは残念なところですし、音楽の難しいところを思い知らされますが、こういった素晴らしい音楽を残してくれたことに感謝するべきなんでしょうね…