リーダーシップを鍛える/荒木香織

 

リーダーシップを鍛える ラグビー日本代表「躍進」の原動力

リーダーシップを鍛える ラグビー日本代表「躍進」の原動力

  • 作者:荒木 香織
  • 発売日: 2019/12/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 2015年ラグビーW杯イングランド大会で、”ブライトンの奇跡”と呼ばれる南アフリカ撃破を成し遂げた日本代表で、メンタルコーチとして快挙を支えた方の著書です。

 

 以前紹介した荒木さんの前著である『ラグビー日本代表を変えた「心の鍛え方」』では、ラグビー日本代表でのメンタルコーチとしての取組をドキュメンタリー的に伝えると言った印象の内容でしたが、この本では前半部分では前著同様2015年W杯での取組を紹介されてはいるのですが、どちらかというとご専門であるスポーツ心理学の学術的な背景を踏まえた上で、個々の取組が選手のパフォーマンス発揮にとってどのような効用があるのかを論理的に紹介されることに重きを置かれているように感じます。

 

 後半部分ではラグビー日本代表での取組も含めて、組織においてどのようにすればリーダーシップが発揮できやすい環境になるのかということを普遍的に語られます。

 

 リーダーシップというと日本では”カリスマ性”とか生得的なモノだというイメージを持つ人が多いとは思うのですが、荒木さんによるとリーダーシップはトレーニングによって身に付けることができるものであって、正しく経験を積めば自分なりのリーダーシップを会得できるということです。

 

 また組織においてリーダーシップを発揮しやすくするためにはリーダーの個人的な努力のみに依存するのではなく、組織として誰もが主体的な取り組みができるようにすることで、リーダーの要求を有機的に実現することができるようです。

 

 サブタイトルに『Leadership & Resilience』とあるように、この本のもう一つの大きな要素として”レジリエンス”があるのですが、どうしても日本では”忍耐”みたいに捉えられがちなコトバですが、目標に向かってハードに取組めるようにするといったマインドセットととらえる方が実態に近いようで、スポーツでよく言われる「ハードワーク」のための取組が、普遍的な組織の活性化につながる要素があるようです。

 

 荒木さんのまかれた種が2019年にも大きな花を咲かせるワケですが、そういった取組が日本の多くの組織で取り入れられたら、大きな成果につながりそうですね!?