独裁力/川淵三郎

 

独裁力 (幻冬舎新書)

独裁力 (幻冬舎新書)

  • 作者:川淵 三郎
  • 発売日: 2016/09/30
  • メディア: 新書
 

 

 Jリーグの初代チェアマンや日本サッカー協会の会長を歴任され、日本サッカーを世界に伍していけるまでのレベルに押し上げた功労者とも言える川淵さんが、瀕死の危機にあった日本バスケットボール協会の立て直しに取組まれた時のことを中心に語られた本だということで、サッカーのことにも触れられていますが、敢えて「サッカー」のタグはつけておりません(笑)

 

 2014年当時、日本のバスケットボール界では、NBLbjリーグと言う2つのリーグ戦が並立しており、国際バスケットボール連盟FIBA)よりリーグの統合を強く要請され、2014年11月には統合されるまで国際大会への出場資格を剥奪されてしまいました。

 

 当時の会長が事態の収拾を放棄して辞任してしまい、流れ流れてすがられた川淵さんが義憤に駆られて火中の栗を拾う役割を担われたようです。

 

 当時川淵さんはバスケットボールにはほとんど縁がなかったようですが、Jリーグ立ち上げ時や日本サッカー協会会長としての経験から、剛腕を発揮されて事態を収拾されたようですが、そういう有事のトップとしては周囲の雑音を遮断してでもコトを推し進める「独裁力」が必要だということをおっしゃられています。

 

 ただそういう強引な手法を取られるからには無私の姿勢も必要だということで、あくまでも日本バスケットボール界ひいては日本のスポーツ界に資するという高いビジョンをもつことを周囲に要求したことがギリギリの成功をもたらしたのかも知れません。

 

 また早いうちから日本のサッカー界が、当時世界最先端であったドイツのサッカー界のノウハウを吸収していたことで、スポーツが社会にもたらす効用を肌感覚で持たれていたことが高い倫理観を持った改革につながったという側面もあると思います。

 

 強引な手法が批判を浴びることもありますし、個人的に諸手を挙げて支持をしているワケではないのですが、旧態依然たる体質を持った組織の多い日本スポーツの競技団体が少しずつでもこういう風に変わっていけばなぁ、とは思います。