「奇跡」のトレーニング/小山裕史

 

「奇跡」のトレーニング

「奇跡」のトレーニング

  • 作者:小山 裕史
  • 発売日: 2004/01/11
  • メディア: 単行本
 

 

 2004年でちょっと古くなってしまうのですが、その当時、様々な競技のトップアスリートがトレーニングに取り入れた初動負荷理論を考案した方が、その理論とそれに基づいたトレーニングを紹介された本です。

 

 その”トップアスリート”というのが、最早一世代入れ替わってしまっているんですけど、それでも未だその名を轟かせるレベルの方々で、この本で紹介されている方だけでも、野球のイチロー選手、長らく100mの日本記録保持者であった伊東浩司選手、全盛期のジュビロ磐田の主要メンバーで元サッカー日本代表藤田俊哉選手、テニスのダブルス世界ナンバーワンプレーヤーであった杉山愛さんなどの錚々たる面々が、著者である小山さんのトレーニングを取り入れていたということです。

 

 その考え方というのが、人間のカラダの構造面に鑑みて、如何に自然に動かせるようにするかということに主眼を置いた考え方だということです。

 

 実は各種スポーツの”基本”とされる動きは、この部分を無視したモノが多いということで、その典型として、短距離のスタンディングスタートで”ヨーイ・ドン”をする時とか、野球のスローイングや、サッカーのインサイドキックなんかを例にして取り上げておられます。

 

 そういう動きって、カラダに取って不自然なので、繰り返しやっているうちに故障につながる確率が著しく上がってしまうというリスクだけではなく、不自然な動きをしようとすることによって、ヘンなチカラを込めてしまうというメンタル的な不都合もあるということで、カラダにとって自然な動きを取り入れることによって、故障のリスクを下げようというだけではなくて、メンタル面でも効果が高いということです。

 

 そういえば、小山さんが診られていた方々と言うのは、故障での離脱がかなり少ない選手が多かったなあというイメージで、こういう考え方が広がっていけば、日本の競技力もグッと向上するんじゃないかという気がします。