ネット風評被害/薮崎真哉

 

ネット風評被害 (ディスカヴァー携書)

ネット風評被害 (ディスカヴァー携書)

 

 

 元Jリーガーという異色の経歴のネット風評被害コンサルタントの方が紹介されるネットでの風評被害に対する対策を端的にまとめられた内容の本です。

 

 現代においては、例え自社でサイトを運営されていないとか、一切ITを活用していない企業であっても、ネット上での風評被害から無縁ではいられないということを、冒頭で警告されています。

 

 どういうことかというと、例えばクレーム対応でトラブったとか、不満を蓄積したまま退社した元社員がいたとかというケースがあれば、その相手がその会社の悪口をTweetして、何かの拍子にそれが拡散されたら、下手をするとバッシングの嵐を受けて廃業に追い込まれるリスクも、可能性としてはあり得るということです。

 

 ということで、例えあまりITには明るくないとしても、それなりにネット上での風評被害について平時から心を配っておく必要性を強調されています。

 

 まずは、そういった風評被害を防ぐためにも、普段から自社の顧客や取引先などのステークホルダーとの良好な関係を維持するよう努めると共に、何らかのトラブルがあった際には誠実に対応している姿勢を見てもらうことが重要なようです。

 

 それでも、時にはそういった”常識”が通じない相手が自社の悪評を拡散させる可能性も無いとは言えないのですが、そういった場合は迅速な対応が重要なのと、普段からステークホルダーとの関係性を良好に保っていれば、キチンと早急に説明をすることで、多くの場合は”炎上”に至らずに済むようです。

 

 ただ、言い訳じみたことを言ってみたり、隠ぺいしようとしてそれがバレたりした場合は取り返しのつかないことになることが多いということで、普段からの心がけが非常に重要みたいです。

 

 そういった”ネット風評被害”に纏わる論点が、端的にもれなく網羅されており、経営者の方であれば、あらかじめ注意しておくべき点が過不足なく理解できますし、社員の方への啓蒙にも役に立つ内容だと思われますので、社外の人と接する可能性のある人たちすべてに認識しておいてほしい内容となっています。

 

 現代のビジネスはかつてないほど、”信頼”の意義が高くなっていることを痛感させられます。