竹中平蔵・上田晋也のニッポンの作り方

 

竹中平蔵・上田晋也のニッポンの作り方

竹中平蔵・上田晋也のニッポンの作り方

 

 

 くりぃむしちゅーの上田さんが、この本が出た当初小泉内閣総務大臣を退任して、そんなに経っていない頃の竹中さんに、日本の政治を取り巻く状況を質問するといった感じで構成された本です。

 

 出版されたのが2008年ということで、2006年9月に小泉首相が任期満了に伴って辞任したのに合わせて、政治家としてのキャリアにピリオドを打たれた竹中さんですが、この本が書かれた頃は、まだまだ政治関連の引き合いがあったようですが、この直前に、リーマン・ブラザーズの破たんを発端としたリーマン・ショックが始まったばかりで、この後、自民党政権の終焉など政情が混沌としていくのですが、まだこの頃はその気配もない頃で、一般論として、財政赤字の解消や構造改革、公務員改革と言ったトピックが語られます。

 

 その中でいくつか印象的だったトピックと言えば、一つは日銀に関するトピックなんですが、バブル処理に失敗して、その後「失われた20年」と言われることになる時期の真っただ中にあったワケですが、当時としてもバブル崩壊は結果として明確であったにも関わらず、日銀において、その”失敗”の総括みたいなことは一切行われていないことについて、この本でも問題点として指摘されているワケですが、その後も数々の”失敗”を繰り返してきたにもかかわらず、その反省が一切行われていないのが、如何にも日本的ではあるのですが、そういう部分が現時点での閉塞状況をもたらしているのは間違いなさそうです。

 

 同じような文脈でとらえられるのが公務員改革で、再三その必要性が叫ばれているにも関わらず、官僚の頑強な反発にあって未だ実現を見ることはなく、なれの果てには、人事権を握られた官邸に”忖度”をして、脱法行為だろうが何だろうが、自己保身のためには何でもありの腐敗した組織となり果てております。

 

 竹中さんは、そもそも”終身雇用”の官僚が行政を担うことによる構造的な問題だと指摘されていますが、きっとそういうところに手をつけられるような強力な政権が表れることは日本が破たんするまでないんでしょうねぇ…