Suicaが世界を制覇する/岩田昭男

 

 

 金融関連をメインのフィールドとされているジャーナリストの方が紹介されるSuicaの”可能性"についての本です。

 

 まあ、巨大な領域をカバーするとは言え、日本の一鉄道会社の発行するカードが「世界を制覇する」なんていうと、”どういうこと!?”と言いたくなりますが、iPhone7以降に標準装備されたApple PayのパートナーとしてSuicaが採用されたことは、相当なポテンシャルを認められたということを指摘されているのですが、そもそもAppleは自社のデバイスに搭載される規格について、世界標準となるポテンシャルを持ったものを選ぶということに定評があって、だからこそApple PayにSuicaが取り入れられたのはSuicaの世界進出の一歩とも言えるという論法なのですが、日本でこそ大きなシェアを誇るiPhoneですが、海外ではそこまで大きなシェアを持っているワケではないので、それでSuicaが世界制覇?とは思えます。

 

 日本では消費税が10%になったのに伴い、遅ればせながらキャッシュレス決済の普及を促すということで様々な施策が始まって、ようやくキャッシュレスの利便性や意義が認識され始めたばかりといった状況ですが、海外においてはすでにカードの読取り規格や決済手段について激しい競争が繰り広げられているワケですが、世界最大のクレジットカード会社であるVisaも随分以前から、IT企業の決済基盤への参入を警戒されていたことも指摘されており、そういう意味で、ある程度の影響力を持つAppleSuicaを採用したことについては、それなりの評価をすべきなんだということがわかります。

 

 また、日本が国家戦略として新幹線規格の高速鉄道を海外で展開しようとしているということもあり、その成否によってはニューヨークの地下鉄でSuicaが採用されているなんてことも、ただの夢物語ではないとはおっしゃられていますが…