99.9%は仮説/竹内薫

 

 

 科学における”定説”や”常識”に対する考え方を通して、思考の柔軟性を持つことの重要性を説かれた本です。

 

 科学の世界で”定説”とか”常識”とされている考え方であっても、あくまでも「仮説」であって、”不動の真実”であるワケではないということで、その後突き崩された”定説”をいくつか紹介されます。

 

 かつて”不動の真実”だと考えられていた天動説が覆されて、現時点においては地動説が”常識”として扱われていますが、それもあくまで「仮説」であり、それが間違いだとする証拠である「反証」が積み上げられれば、”定説”や”常識”でなくなる蓋然性があるんだと考えることの重要性を指摘され、そういう”定説”や”常識”を疑う態度が科学を深化させてきたという側面があるようです。

 

 でも「反証」というのは、それまでの”定説”や”常識”が大きく立ちはだかるという側面があるようで、かつてガレリオが高精度の望遠鏡を開発し、月の表面がクレーターなどの凸凹があることを”証明”した際も、時の科学者たちは目で見たモノよりも、”定説”や”常識”の方を重く見て、望遠鏡をまがい物だとして認めなかったという事例を紹介されています。

 

 実はそれは特殊な例ではなくて、科学における実験で未だにフツーに行われていることであり、自分の仮説に合わない実験結果を、単に実験に失敗したということで無視してしまうということはよくあることだということです。

 

 そういった中でも常に目の前のことに疑問を持ち続けることは科学者だけではなく、我々が通常の生活を送る上でも重要だということを説かれており、思考の深化につながるようです。