以前、BrExitの労働者階級の反発としての側面を追った『労働者階級の反乱』を紹介しましたが、この本は英国びいきかつEUを研究対象とされている国際政治学者の方がBrExitの国民投票での離脱の決定からジョンソン首相がEUとの離脱協定をまとめるまでを追った本です。
元々国民投票をやることを決めたキャメロン首相はモチロン、英国政府の多くの人がまさか離脱に決まるとは思っていなかった、かつ離脱になったとしても大した影響はないでしょ、と思っていたフシがあることを指摘されていて、フタを開けてみてその重大さに、国全体がアタフタした経過をたどります。
離脱を取りまとめた保守党の首脳にしても、元々メイ首相は残留派だったり、結局取りまとめることになったジョンソン首相は離脱強硬派で「合意無き離脱」も辞さないという感じでそのトーンはバラバラで混乱の様子が、外側から見る我々の想像を遥かに超えていたことを窺わせます。
ただおそらくその影響範囲というのはおそらくまだ英国政府の首脳も捉え切っていないとも思われ、スコットランドの独立や北アイルランドの英連邦離脱かつアイルランドへの合流も可能性として低くないとも指摘されており、イギリスの自立という離脱が決まってから後付けのようなキレイごととは真逆の方向に進んで、英国の解体にもつながりかねないとあって、その動静にはまだまだ目が離せなさそうです。