還暦からの底力/出口治明

 

 

 かなり久しぶりに出口さんの著書です。

 

 この本は還暦を迎えて現役からリタイアを控えた、もしくはすでにリタイアされた方へのエールとも言える内容となっています。

 

 人生100年時代とも言われるようになった超高齢社会となって、年金の不安などが語られていますが、出口さんは多くの人がリタイアを控える還暦はホンの折り返し地点に過ぎず、医療の進化などにより健康寿命が延びているなか、健康で充実した後半の人生を送るためにも、働き続けることを推奨されています。

 

 そもそもグローバルスタンダードに照らして、出口さんは定年制を即刻廃止すべきだと指摘されていて、働く意欲と能力が維持できている間は強制的に退職させられることは理不尽だとおっしゃいます。

 

 勤務していた会社で継続して働かないとしても、還暦以降にそれまでの経験を活かしてより充実した人生を送っている人達の実例として、ご自身のライフネット生命の立ち上げから、さらに転身されてのAPU学長としての充実した日々を紹介されているとともに、出口さんの周辺の方の還暦以降の活躍も併せて紹介されています。

 

 出口さんは、そういった人生後半の充実のためにも、”現役”世代の頃から「人・本・旅」から教養を得ることを、これまでの著書でも繰り返し強調しておられて、「美味しい人生」を送るために「教養」を蓄えることを勧めておられて、「教養=知識×考える力」ということで、知識と考える力を充実されることが必要だとおっしゃいます。

 

 未だ日本のサラリーマンは「風呂・飯・寝る」ということで、会社で働くことに意識のほとんどを費やしている人が多数だと思いますが、会社がリタイア後の充実の面倒を見てくれるはずもなく、長い目で見て自分のためにちゃくちゃくと準備を進めていくことが、今後の社会においては必須のモノとなるようで、しっかりと意識していきたいところです。