中国の行動原理/益尾知佐子

 

 

 最近、香港問題を中心に世界中にケンカを売っているように見える中国なのですが、ホントに大丈夫なの!?というギモンにちょっと答えてくれるかも知れない本を見つけたので紹介します。

 

 この本は2018年の出版なんで香港問題まではカバーされてはいないのですが、基本的に大きな考え方は変わっていないはずなんで、ある程度の答えがあるはずなんですが、それ以前にも結構アメリカにケンカ売ってんちゃうの!?と思った、南シナ海への海洋進出に関するトピックは扱われていますので、昨今の”暴走”とも見える行動についてもある程度その根拠が浮かび上がってきます。

 

 そもそも中国の尊大さについては、日本では中華思想が取り沙汰されますが、著者である益尾さんはそういう捉え方はされていないようなんですが、それでも中国人の脳裏の中に世界のGDPの6割を占める世界帝国であった時期のことは色濃く刷り込まれているようで、中国人にとってのあるべき姿は元に征服されるまでの、世界帝国であった唐代~宋代までの治世が拠り所となっているということです。

 

 現在の中国もあからさまにはしないまでも、その姿を取り戻すことを究極の目標としているということで、その治世が世界の平和を実現するものだとして、アヘン戦争以降、中国中心の世界秩序を妨害している欧米の干渉を取り除くことが当面(って、どんだけ経っているのかというツッコミは置いておいたとして…)の課題だということで、欧米の民主主義をベースとした価値観に捉われた多くの日本人にはなかなか理解しがたいモノであるのは間違いありませんが、欧米諸国の”横暴”を排除して、かつての姿を取り戻そうとする共産党の姿勢に多くの中国人民の支持が集まるというのは、ある程度想定できるのかな、とも思えます。

 

 さらには、共産主義的な考え方は、実は中国の伝統的な家父長的な考え方と相性が良いようで、多くの中国人は共産党という頼れる家父長の下、結構ナットクしてその方向性に従っているようで、監視社会だろうが何だろうが、共産党のすることに間違いはないという位の信頼感もあるようで、そういう前提がなかなかコッチ側の我々には理解しにくい所だと思われます。

 

 そういう絶望的な認識の差はあるとして、ある意味ホンキの中国と対峙しないといけない日本にとっては、こういう大本の考え方をアタマに置いておく必要があるんじゃないかと感じます。