勝ち続ける力/羽生善治+柳瀬尚紀

 

勝ち続ける力

勝ち続ける力

 

 

  3日連続で羽生さん関連の本なのですが、英文学者で翻訳家でもある柳瀬さんとの対談本です。

 

 なぜ英文学者と対談?という感じなのですが、柳瀬先生がかなり将棋に造詣が深いということで、羽生さんとはもう一冊対談本があるのと、米長邦雄永世棋聖との対談本もあるということです。

 

 将棋自体のハナシもふんだんあるのですが、柳瀬さんは英文学の翻訳も手がけておられて、英文学の中でも難解さで知られるジョイスの翻訳でも知られているということで、将棋の対局において次の一手を選択することと、翻訳において目の前のコトバの訳を考えることの類似性についても言及されています。

 

 昨今藤井聡太二冠の活躍で再び将棋界に注目が集まっていますが、実際の対局における戦況を正確に評価できる人は、ほとんどいないと思われるのに、あれだけ人々が将棋に引き付けられるのは、その知的なバトルに知らず知らずのうちに魅了されているんだろうなあ、とこの本を読んでいて思い当たりました。

 

 10月には久しくタイトルから離れていた羽生さんが、あと一つに迫っていたタイトル獲得通算100期に向けて竜王戦に臨まれますが、将棋界がより盛り上がるように、是非とも竜王位に復帰してほしいところです。