幸福になるための人生のトリセツ/黒川伊保子

 

幸福になるための人生のトリセツ

幸福になるための人生のトリセツ

 

 

 AIの開発に携わる脳科学者の黒川さんですが、男性と女性の脳の思考の性差をテーマにした『妻のトリセツ』や『夫のトリセツ』が大ヒットしましたが、それを受けての雑誌での連載をまとめた本で、数匹目のドジョウを狙う感アリアリのタイトルですが、

まあ内容としては、黒川さんがこれまでの著書で取り上げてこられたような、男女の思考癖の性差に基づくすれ違いを扱ったモノとなります。

 

 そんな中でやはり相手の思考癖と言ったモノを認識した上で、ウマく相手を転がすことがシアワセへの近道というのは、一貫した路線ではあるのですが、そもそもわざわざそういう性差ができたことには理由があるということで、やはり狩猟時代からの種としての安全の確保という意味で、そういう思考の違いというモノは不可欠なモノであり、これがなければ、人類のここまでの発展というのはあり得なかったということを改めて強調されています。

 

 だからこそ、夫の無神経さを嘆く奥様方に対して、優秀な子孫をもうけるといった意味合いで、ベストの選択をしたことの証左であるとおっしゃっているのですが、なかなか皮肉なモノですよねぇ…

 

 あと興味深かったのが、AIの開発者としての黒川さんへの質問なのですが、AIが人類を攻撃するようなことはないのか、ということがあって、黒川さんは現時点ではその見方を否定されます。

 

 というのも、AIには今のところ自己保全や生存への欲求と言うモノがないので、攻撃の矛先が人類に向かうということはないというので、非常にナットク感のあるお話でしたが、いつか悪意の技術者がそういうモノを仕込んでしまうと、恐るべき敵になってしまう将来を否定できないというのは、戦慄すべきことなのか…とも考えさせられました。