新しい生物学の教科書/池田清彦

 

新しい生物学の教科書 (新潮文庫)

新しい生物学の教科書 (新潮文庫)

 

 

 先日紹介した齋藤センセイの『大人のための読書の全技術』で、理系の本を読むことを強くススメられていたので、推薦図書のうちの1冊を手に取ってみました。

 

 この本は科学雑誌『サイアス』に連載されていた『教科書にない「生物学」-文部省検定の裏をよむ』をまとめられた本だということで、生物学の典型的なトピックが高校の教科書でどのように扱われているかを検証されたモノです。

 

 ワタクシ自身、ド文系だったこともあって、いち早く物理・科学から逃げ出して、生物・地学を選択していたのですが、結局当時の共通一次試験を地学で受験したこともあって、一応3年間生物は選択していたにもかかわらず、この本で扱われているトピックが全く思い出せなくて、ちょっとアセりました…

 

 まず感じたのは、まあ想像を絶する程、広範な内容を詰め込まれていたんだなあ、ということで、進化論だったり、細胞など個別の器官の働きだったり、遺伝や免疫だったりと、たった3年でここまでやってたっけ!?ってくらい幅広いトピックを取り扱われています。

 

 ただ、先端的な研究者からすると物足りないところがあるのは仕方ないとは思うのですが、論理的にこのトピックを出すんだったら、このトピックは前提として語っておかないと、宙に浮いてしまうでしょ、みたいなつながりの考慮が希薄だったりして、その辺りの理解ができなくなるんじゃないの…という部分は多いようです。

 

 あまりに広範なトピックを扱うためには仕方がないのかも知れませんが、そういう無神経さが理系離れを招いている部分もあるのかも知れませんね…