ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー/ブレイディみかこ

 

 

 ここのところブレイディみかこさんにハマってますが、近作で2019年本屋大賞のノンフィクション本大賞を受賞したこの本がどうしても気になったので、久々に本屋に出かけて買ってきました。

 

 ブレイディさんの息子さんが、小学校の時はカトリック系の結構"いいとこの子”が行く学校に行っていたのが、ひょんなことから中学校は、その当時はかなり持ち直してはいたものの、かつて地域で一番"荒れて"いた学校に通うことになり、レイシズムだったり、イギリス特有の階級的な考え方に翻弄される様子を紹介されています。

 

 ブレイディさんの息子さんも東洋的な顔立ちをしているので、当然レイシズム的な被害を受けることもあったようなのですが、昨今は英国でもそういうレイシズムを防止しようということで、様々な施策は取られているようなのですが、長い歴史の中で”秩序の維持”のためのシステムとして機能してきた”差別”というのは、かなり深く浸透しているようで、そんなに悪気もなく、自然な反応としての”差別”が出てくるという側面があるようです。

 

 この本では、かなり多様な人種の方々が出てきていて、却って移民としてやってきた人たちがレイシズムの担い手となってしまうというところにもレイシズムの深刻さを感じるのですが、そういった込み入った状況の中で葛藤しながらも、中学生たちが何とか折り合いを付けて行く様子が印象的です。

 

 こういった葛藤を経てこそのダイバーシティなんでしょうし、あまり移民の流入のない日本では、ここまでの複雑さとかは生じにくいのかも知れませんが、今後こういった葛藤が現実になるかも知れないということと、そういった中でたくましく生きていくための方向性が示されているようで、なかなかキビシイ状況が多くてツラいところもある本ですが、そういう希望の部分に爽快感すら感じさせられました。