父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話/ヤニス・バルファキス

 

 

 先日紹介した『そろそろ左派は<経済>を語ろう』の中でブレイディみかこさんが勧められていたので手に取ってみました。

 

 この本を書かれたバルファキスさんは、2015年にギリシャがデフォルトに陥る危機に瀕した時に、財務大臣として辣腕を振るわれて破綻から救われたということなのですが、この本はバルファキスさんが「経済学を教える者として、若い人たちにわかる言葉で経済を説明できなければ教師として失格だとつねづね思ってきた。」ということで、オーストラリアに離れて住んでいる娘さんに説明するつもりで書かれたということです。

 

 ということで、ほとんど経済学で出てくる用語みたいなものは出てこないですし、逆に経済学を学んでこられた方は、逆に戸惑ってしまうかもしれない位、ロジックが斬新で、どっちかと言うと、そもそもこういう状態になるメカニズムというか、”しかけ”や”仕組み”みたいなものを説明しようとしているように思えます。

 

 だから”経済”が始まる前提として、そもそも”文字”が発生したワケとか、”通貨”や”格差”が生じた、人間の進化の過程におけるポイントみたいなものから説明されます。

 

 途中、信用創造のメカニズムについて、銀行がお金を「魔法のようにパッと出す。」

って言ってしまっているところは、ちょっとワケが解らなくなってしまわないかと不安ですが、"労働者”の発生や”貨幣”のメカニズムなど、次第に経済のメカニズムが"進化"して行った過程を追われています。

 

 個人的には多少経済学をマジメに勉強した時期があって、中途半端な知識があるだけに戸惑った部分もありましたが、こういうベースとなる前提知識を持ったうえで、経済学を学ぶと、かなり理解しやすいのではないかと感じました。