コロナ後の世界を生きる/村上陽一郎編

 

 

 各界の著名人が、それぞれの専門分野に関して、コロナ後の世界を展望されたモノを集めた本となっています。

 

 ワタクシ的にも、ヤマザキマリさん、出口治明さんが執筆陣に加わっていますし、新国立競技場の設計で知られる隈研吾さんや『里山資本主義』藻谷浩介さんも加わられていて、かなりの豪華版です。

 

 感染症の専門家、歴史の研究者、行政の専門家など様々な専門家が、その分野に基づいたコロナ禍についての知見を語られているワケですが、今回のパンデミックがこれまでの歴史の中でのパンデミックと異なるのは、グローバル化の進展が相当程度進んだ後での発生ということで、感染の広がりが抜きんでて早かったことを指摘されている方が多くいらっしゃいます。

 

 また、アメリカやイタリアなどの西欧の自由主義的な国家において感染の拡大が深刻で、アジアにおいて感染が比較的抑えられていることの言及されている方が何人かおられたのが印象的でした。

 

 政治学者の御厨さんが、これまでの日本における震災や水害などの災禍においては、人々とのつながりを手掛かりに乗り越えてきた側面があったのに対し、今回のコロナ禍では、周辺の人々とつながれない状況になったことに注目されていたのが非常に印象的でした。

 

 まあ、あまり全体としてのコンセプトの統一というのが希薄に感じるので、全体としての主張というのは捉えにくいのですが、様々な知見を得られるという意味で有意義なのかも知れません。