それでも、幸せになれる/鎌田實

 

 

 諏訪中央病院の名誉院長でありながら、医療関係のみならず、自己啓発的なモノも含めて多くの著書を出版されており、時折、テレビのコメンテイターなども務められている鎌田先生が語るコロナ後の世界です。

 

 コロナ禍の中で緊急出版といったカタチで出版された本だということで今年の9月に出版されたということなのですが、メディアなどでもコロナ禍が落ち着いた後は「価値大転換」が起こると言われていまして、既に様々な面において、日常生活においても変化が見られて、コロナウィルスの感染が収まった後も、元に戻らないと言われていることも多くみられるのですが、そういった中でどういうモノが重視されていくのかについて語られています。

 

 鎌田先生は、コロナ以前の世界では物質的なモノが重視されていて、どこか多くの人が生き急いでいたように見えていたのに対し、コロナ禍に伴う自粛生活の中で、そこまであくせくしなくても何とかやっていけるんじゃないか!?ということを発見して、心の充実というか、人間性を重視したようなライフスタイルを選ぶ人が増えるとされています。

 

 これまでであれば、企業が躍起になって元の状態に戻したでしょうけど、経営効率なんかを考えると、元に戻すインセンティブがあまり強く働かないという側面もあるでしょうし、それよりも人々がコロナ禍での変化を、新たな発見として、そういうライフスタイルを継続できるような選択をする場面が多くなって、元のスタイルに戻るのは現実的ではなさそうです。

 

 まあ、経済的な繁栄を目指す上ではマイナスなのかも知れませんが、これだけの経済規模があるのであれば、寧ろココロの充実を求めた方がシアワセの最短距離と考えるのは、ある意味合理的なのかも知れません。