人生の教科書[ルール]/藤原和博、宮台真司

 

人生の教科書[ルール]

人生の教科書[ルール]

 

 

 藤原さんと宮台さんの共著があると知って手に取ってみました。

 

 お二方の対談だと面白そうだなぁ、と勝手にハードルを上げていたのですが、宮台さんは1章を執筆されているだけで、藤原さんとの絡みはなく、藤原さんも2章のみで、それ以外はその他の方が書かれたということで、ちょっと肩透かし感が否めません。

 

 この本は、『人生の教科書[よのなか]』の続編なんだそうで、そちらが経済学、政治学社会学を取り扱われているのに対して、こちらは法律学を中心に心理学、社会学をカバーされているということです。

 

 この本が出版されたのが1999年ということで20年以上が経過しているワケですが、冒頭でトランスジェンダーについて取り上げられています。

 

 現在においてもLGBTに対する偏見はまだまだ払しょくされているとは言えない状況だと思うのですが、この本が出版された頃に性同一性障害に直面している人たちを取り上げられていて、その生きにくさを紹介されています。

 

 最近でこそ社会的にもダイバーシティ尊重の重要性が取り沙汰されるようになってきましたが、当時は極端な言い方をすれば、異常な性癖というような扱いをされていたということもあって、最近でこそLGBTのカミングアウトということも次第に行われつつありますが、この頃は性転換手術すら優生保護法違反なんじゃないかという議論があったということで、相当生きにくかったんだろうなぁ、ということが伺えます。

 

 また、最終章で宮台さんが、その当時ある高校生が『ニュース23』に出演した男子高校生が「なぜ殺人がいけないのか分からない。自分は法律の罰が恐いから殺さないだけだ」と発言したことが世間にショックを与えたことを紹介されていて、そのことについて論評されています。

 

 それ以外の章は、法律の専門家が青少年を取り巻く犯罪についての法律的な観点を紹介されていて、正直青少年が読んであまりオモシロいモノとは思えません。

 

 まあ、よのなかを生き抜く上で、こういうことをアタマに置いておくことが必要だということは理解できますが、あまり青少年の興味を引くモノじゃないのではないかという気はします。