河出書房新社が出されている『14歳の世渡り術』というシリーズの1冊で各界の著名人が、ご自身のターニングポイントとなった音楽を紹介された本です。
この本には音楽のプロの方もいらっしゃいますし、聴き手としての立場でご自身のターニングポイントを紹介されている方々もいらっしゃいます。
個人的に一番印象的だったのがピアニストの清塚信也さんのエピソードで、子供の頃からクラシックの英才教育を受けていて、確かにクラシック音楽を愛してはいるのだけれども、同時に憎しみも感じていたということで、コンクールで結果が出ないときなどにそういうアンビバレンツに苦しんでおられたということです。
そういう時期に、クラシックを避けてミスチルやマイケル・ジャクソンなどあらゆる音楽を聴いていた時に、ふと聴いた「マーラー/交響曲第五番」でクラシックへの愛を思い出したということです。
『14歳の世渡り術』というシリーズだということで、中高生位の世代をターゲットしてかなり多くの本が出版されているようですが、”人生を変える本”みたいなのは結構出版されていると思うのですが、音楽でこういうモノは見たことがありませんが、音楽が単にタイアップの切り売りみたいな感じで扱いが軽くなっているように感じる昨今ですが、たった1曲が人生の行方を左右するほどのポテンシャルがあることを若い世代に啓蒙するのはかなり意義があるんじゃないかと感じさせられました。