大・大往生/鎌田實

 

大・大往生

大・大往生

  • 作者:鎌田 實
  • 発売日: 2013/07/03
  • メディア: 単行本
 

 

 冒頭で鎌田先生は「ユーモアをいっぱいにあふれさせて死を語ってみたいと思った。」とおっしゃっておられて、如何にして「死」と向き合うかについて語られています。

 

 鎌田先生自身、緩和ケア病棟を立ち上げられたこともあって、多くの患者さんを見送ってこられたとのことですが、平均的な日本人は「死」をあまりにも遠ざけて考えすぎていて、医療機関でも生命を維持する方向に手を尽くしてしまいがちですが、それが必ずしもシアワセな人生の幕引きにつながるのかというと、どちらかと言うと逆に振れてしまうことが多いのではないかとおっしゃいます。

 

 例えば生命維持ということで胃瘻などをしてしまうと、患者さん自身もツラくなりますし、周囲の人にかける負担を考えると、かなりビミョーな選択になってい舞いかねません。

 

 やたら長く生きることに執着するのではなくて、限られた人生を如何に充実させるかという方向に振ることによって、多少人生が短くなったとしてもシアワセに生きることができることが多いということで、鎌田先生がおられる諏訪中央病院では、そのために終末期の患者を自宅で看取るようなサポートも積極的にされているということです。

 

 あくまでそういう選択も、患者さん自身が自分で「死」と向き合って、心底願った結果の選択だからこそシアワセで充実した「死」を迎えることになるのであって、そのためにしっかりと「死」と向き合うことが必須なんだとおっしゃいます。

 

 だんだん日本の医療のそういう方向に向かいつつあるようですが、個々人の意識もそういう方向を向いていかないといけないですね!?