『妻のトリセツ』の黒川さんの2007年の著書です。
先日、マーケティングに関する内容を扱った『なぜ、人は7年で飽きるのか』を紹介しましたが、昨今男女の脳機能の性差に関する著書で一世を風靡している黒川さんですが、かつては様々な分野で、脳機能に関する著書を出版されていたようです。
現時点でこのタイトルを見ると、昨今ありがちな右翼的な日本礼賛本かと思ってしまいますが、13年前の出版ということでそういうことではなさそうで、趣旨としては日本語の礼賛というワケではなくて、母語の脳への作用についてが主題になるかと思われます。
母国語というのは、その国の社会における人々の営みから練り上げられた基本的なコミュニケーションというモノがあり、コドモは母親とのコミュニケーションを通じて、社会におけるコミュニケーションのベースを形成していくようで、そういう意味で母国語を習得しつつ、処世についても学んでいるといえそうです。
そんな中で、実際の行動と語感のイメージが一致していることが、そのコトバの示す内容を体感的に理解できるということで、母音の比重の高い日本語は、脳科学的にその一致の割合が高いということで「美しい」言語だとされることが多いということです。
十二歳までは、そういう基本的な価値観を形成している時期だということで、黒川さんは小学生の英語必修化には大反対されていて、特にアーティスティックな分野を志向するコドモにとっては、かなり大きな悪影響を与えてしまいかねないということです。
昨今はコミカルな語り口がおなじみの黒川さんですが、この本ではかなりロジカルなわかりやすさが印象的で、言語の果たす役割がかなり理解しやすい内容となっています。