間違いだらけのセ・リーグ野球/小関順二

 

間違いだらけのセ・リーグ野球

間違いだらけのセ・リーグ野球

 

 

 昨年の日本シリーズでは、ソフトバンク・ホークスが読売ジャイアンツを2年連続の4勝0敗という圧倒的な勝利を収めたことで、セ・リーグパ・リーグの格差というモノがショッキングなカタチで取り上げられましたが、この本は2015年の出版でありながら、既にその姿を予言していたかのような内容となっています。

 

 元々パ・リーグは人気の面でセ・リーグと大きな差があったこともあって、数十年前でも「人気のセ・実力のパ」などといったことを自称していて、その頃は負け惜しみ的な受け取られ方をされていたように思いますが、様々な工夫を積み重ねて行ったことと、巨人戦のコンテンツとしての価値が、全盛期からすると著しく下がってしまったということもあって、結局こういった体たらくになってしまったようです。

 

 特に純粋に野球面だけを捉えてみると、ドラフトでも人気のあったセ・リーグの後塵を拝し、FAが始まったら主力級がこれまたセ・リーグに行きたがったりと、かなりキビシイ状況になってしまっていたところを、地道に選手の育成に努め、チカラとチカラの勝負という積極的な野球を繰り広げ、その後多くのメジャーリーガーを輩出するまでになり、数年前の日ハムや、ここ数年のソフトバンクなどの隆盛につながったようです。

 

 それに引き換えジャイアンツを始めとするセ・リーグの球団は目先の価値を拾うためのFA選手のかき集めやチマチマしたスモール・ベースボールに汲々とした結果が、この格差ということを2015年時点でおっしゃられているのですが、昨年のここまでの状況は想像されていなかったかもしれません。

 

 個人的にはとっくの昔に野球への興味は薄れて、最近はラグビーやサッカーを見る方がずっと面白いのですが、こういう状況も野球の人気低下に拍車をかけてしまうんじゃないかと心配になってしまいます。