エンゼルス、マリナーズで主にセットアッパーとして活躍された元メジャーリーガーの長谷川滋利さんが引退直後に書かれたメジャーリーグ本です。
長谷川さんの引退直後に出版されてということは13年も前の本ということなんで、「観戦術」もどうなのかなと思ったのですが、確かに取り上げられている選手はその頃の人たちなんで、今となってはほぼほぼ全員が引退してしまって、そういう個別の選手を取り上げたところについては、最早昔話でしかないのですが、個人的には一番メジャーリーグを気にかけていた頃なんで、かなり懐かしいなと思いながら、そういうパートも読んでいました。
それよりも長谷川さんが語る、内側からのメジャーリーグについてのトピックは未だに有効な話だと思われ、極端に言えば日本とアメリカのプロ野球界の差からくる比較文化論的な趣もあり、かなり興味深く読めました。
特にメジャーリーグは今や、アメリカの…というよりも北中米およびアジア、ほんの少しヨーロッパという野球が少しでも普及している国々のトップ選手が集まってくるようになっているからなのか、アメリカが元から持っているフェアネスからなのか、日本のプロ野球と比較して、フェアネスの部分が浸透しているなぁということで、日本では時折見られながらも必要悪として見過ごされてしまうサイン盗みは、2019年のチャンピオンであるアストロズがやっていたことが露見して一大スキャンダルとなったように、最大のタブーの一つであるようです。
また、大勝しているチームが盗塁をしたり、バントをしたりすると次のバッターがデッドボールを喰らうという"Unwritten Rule"もフェアネスの表れと言えるようです。
やっぱりスポーツというのはその国の気質が色濃く表れるようで、まだまだグローバルなスポーツとは言い難い野球は、よりそういう側面が強いのかな、ということを感じました。