菅政権と米中危機/手嶋龍一、佐藤優

 

 

 手嶋さんと佐藤さんの名コンビによる新刊が『公安調査庁』以来5カ月ぶりに出版されたのを見つけたので、早速手に取ってみました。

 

 これまで1年に一回くらいのペースだったのですが、安倍首相とトランプ大統領の後退を受けてか、世界情勢の緊迫からか、5カ月での出版というのはオドロキです。

 

 オドロキと言えば、この本の冒頭で安倍首相の退陣について触れられているのですが、かなり世界の首脳に大きなインパクトとなっているということで、国内ではロクなことをしなかったと叩きまくられている安倍氏ですが、トランプとマトモに話のできる唯一の首脳ということで頼りにされていたようで、安倍ロスのインパクトは小さくないということです。

 

 どうやらアメリカではバイデン氏に政権が無事に移りそうな状況で、選挙期間中はトランプ氏の対中姿勢について疑問を投げかけられたバイデン氏ですが、アメリカとの覇権争いの意図を最早隠そうともしない中国に対して、中途半端な態度が国内的にも許されるはずもなく、より戦略的な包囲網が想定されるということで、日本もより鮮明なカタチでの踏み絵をアメリカから迫られることになりそうです。

 

 そんな中で最大のリスクが台湾問題で、中国にとっても台湾の取り込みが積年の念願ともなっており、手段を選ばない強硬手段にでる可能性が、フツーの日本人が考えているよりもずっと高いようで前著『公安調査庁』で触れられていた中国による与那国島での土地購入など、ちゃくちゃくと布石を打っているようで、尖閣諸島どころではなく、沖縄侵攻も現実的な危機だということで、菅政権が有効な対抗手段を取れるのかということに大きな懸念を示されています。

 

 この二人にこういう”地獄絵図”を突き付けられると、戦慄を覚えずにはいられないのですが、それでも継続的にこういう”警告”を出してほしいところです。