激動する日本と世界のラグビー/上野裕一

 

激動する日本と世界のラグビー

激動する日本と世界のラグビー

  • 作者:上野 裕一
  • 発売日: 2019/07/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

  現在アジアラグビー協会の副会長を務めておられる日本ラグビー界きっての国際派である上野さんが、日本代表チームを核とするサンウルブズでスーパーラグビーリーグに参戦した際の内幕を紹介された本です。

 

 スーパーラグビーというのはニュージーランド、オーストラリア、南アフリカという南半球のラグビー強国のクラブチームで構成されるリーグで、世界最強とも言えるラグビーリーグなのですが、日本代表を核とするサンウルブズは残念ながら2020年を最後に離脱することにはなったのですが、2015年から5シーズンに渡って参戦し、結果として2019年の日本W杯でのジャパンの快進撃につながる強化に大いに貢献した取組だったと評価されています。

 

 そういう取組だったら、日本ラグビー界がこぞって積極的に取組むだろうと思いますが、日本ではかつてのアマチュアリズムに基づく活動を良しとする守旧派が幅を利かせていたこともあって、相当な軋轢があったようで、この本でその内幕を伺わせます。

 

 結果としてサンウルブズとしてスーパーラグビーに参戦し、2019年日本W杯でのジャパンのベスト8進出という輝かしい結果につながったワケですが、それでもW杯を前に、守旧派を中心とする非協力的な姿勢が元でサンウルブズのスーパーラグビーからの撤退ということになってしまい、2023年のフランスW杯に向けた強化を白紙から練り直すことになっているということのようです。

 

 ただ、2019年のW杯での成功を受けて、少しずつ日本ラグビー協会もオープンになってきているということで、2023年も再び2019年のような快進撃が見られることを期待したいところです。

 

 ラグビーの話ということで、あまりビジネス面とは関係なさそうですが、日本ラグビー協会という閉鎖的な組織においてのブレイクスルーという側面もあり、特に大企業で閉塞感を感じられている人にも手に取ってもらいたい内容となっています。