子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?/おおたとしまさ編

 

子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?

子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?

 

 

 教育関係で多くの著書があるおおたさんが、名だたる執筆者を擁して、「子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?」という、シンプルかつ、相当回答し難い問いに答えていきます。

 

 自分の子どもに勉強を強いて、開き直った子どもに「なぜ勉強しなくちゃいけないの?」と問われて、絶句した挙句、「どうしてもなの!」と答えにならない答えを返した経験をお持ちの親御さんもおられるかとおもいますが、この本は、博物学者の荒俣宏さん、思想家の内田樹さん、民間出身者としては初の都立中学校の校長をされた藤原和博さんなど名だたる執筆陣が、子どもと親御さんそれぞれに向けて、「なぜ勉強しなくてはいけないのか?」という問いに、それぞれのご専門やご経験を踏まえて回答されています。

 

 各執筆者がそれぞれ、子どもに向けても親御さんに向けても、概ね同じような内容の回答をされているのですが、それぞれの関心事にフォーカスして多少ニュアンスは変わっています。

 

 突き詰めれば、すべての執筆者に共通するのは、「生きていくために必要な知識を得るため」ということになるんでしょうけど、それぞれのご専門を踏まえて、その”知識”のレベルというのは変わって来ています。

 

 博物学者の荒俣さんだったら、種としての人間が自分より体格で勝る動物からの攻撃に勝るための知恵をつけるために”勉強”をしなくてはならないとおっしゃられていますし、多くの方がおっしゃられているのが、集団で生活をする社会的存在である人間として、周囲からの信頼を得るための知識を積み上げていくという意味での”勉強”をする必要があるという指摘をされています。

 

 人間はそういう過程を経てくることで、必要に迫られての”勉強”という側面もあるのですが、何か知らないことがあれば、それを調べなくてはおられないという意味で、自発的な”勉強”をすることが身についてしまっているということで、強制されるとイヤな”勉強”も、実は自発的にしているという側面も多いようで、そういうところから”勉強”することの喜びを感じてもらえることを促したいところです。

 

 オトナとしても、ただただ子どもに”勉強”を強いるだけではなく、こういうそもそも論を意識しておくことで、勉強をしてもらうための説得力をつけておきたいところですよね!?