未来の中国年表/近藤大介

 

 

 中国滞在歴も長く、中国情勢の有識者として小泉元首相も中国関連の意見を求めていた近藤さんが、中国の人口減少がもたらすインパクトについて語られた本です。

 

 日本の人口減少がもたらす破壊的な影響については、河合雅司さんが『未来の年表』を始めとする一連の著書で極彩色の地獄絵図のようにリアルに描かれていますが、中国も2017年以降人口減少局面に入ったことが確実になったということで、首脳が日本の人口減少に伴う現象を注視しているということで、かなりの危機感を持っていることを紹介されています。

 

 元々の人口規模が日本の10倍以上ということもあり、さらには長年の“一人っ子政策”による弊害が顕著になりつつあるということもあり、昨今の中国のプレゼンスもあって、相当なインパクトを中国国内のみならず関連国にも及ぼしてしまうことを危惧されています。

 

 あと10年程度は、アメリカの経済規模を凌駕することも含めて、相当の隆盛を追う買うすることになりそうですが、その後についてはインドに凌駕される可能性なども含め、かなり先行きは暗いようで、香港や台湾を取り込むといった強硬的な対応を取る可能性も指摘されており、単純に中国の国内問題では済まない可能性が高そうです。

 

 こういうと、嫌中的な著書だと思われるかも知れませんが、近藤さん自身は中国のスパイと目されたりすることもあるくらいのようで、そういう人がこういう危機を語られることに事態の深刻さがうかがえます。