申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。/カレン・フェラン

 

 

 デロイトなどの大手コンサルティングファームの勤務経験者が語る、コンサルタントが如何にクライアント企業に混乱をもたらすか、ということをつまびらかに紹介された本です。

 

 ワタクシ自身もかなり以前にコンサルのマネごとをやっていた時期があったので、コンサルタントがどういう人種なのかというのは、窺い知れる部分があるのですが、特に大手コンサルファームの方々は、ツール万能主義的というか、如何にしてフレームワークを当てはめるかということに腐心して、As-Isすらロクに分析しないこともあるということがこの本でも紹介されていますが、まあ、そこまで極端なケースはあんまりないんじゃないかとは思うのですが、10数年前に新卒の“優秀”な学生たちの間で就職先として人気を博していた頃、いきなり何の経験もない”コンサルタント”が客先に送り込まれていたらしいということを聞くと、あまりレアなことではないのかも知れません。

 

 著者であるフェランさんは、この本の中でそういうスタンスについて「人間は道具を使うが好きだ。だからこそ文明を築くことができた。危険なのは、ツールそのものを解決策と勘違いし、ツールさえあれば関係者が連携しなくてもうまくいくと思ってしまうことだ。」とおっしゃっておられて、ツール万能主義を振りかざし、クライアント企業の状況をより悪化させてしまうコンサルタントを苦々しく思っていたようで、ご自身はクライアント企業での対話を重んじていたようです。

 

 ただ、そういう姿勢はコンサルファームでは”異端”であり、効率の悪い”無能者”とされかねないリスクもあったようですが、それでもご自身のポリシーを貫き、ある程度の成功をおさめられたようです。

 

 あくまでも、会社を動かすのは人であり、そこにいる人にナットク感が無いと、結局は単なる”念仏”であり、そんなものが問題解決につながるはずはないだろう、というのは外側から冷静に見ればわかるのですが、自尊心で凝り固まった”エリート”たちには、そんな単純なことすらも見えなくなるのかも知れません…