自分の頭で考える日本の論点/出口治明

 

自分の頭で考える日本の論点 (幻冬舎新書)

自分の頭で考える日本の論点 (幻冬舎新書)

 

 

 ホントはコロナ禍の年末年始の巣ごもりで読もうと思って早くに入手していたのですが、意外な程、年末年始に出かけたりして、かつかなりディープな内容で読みかけては躊躇してたりして、3月になってようやく読了した次第です。

 

 『自分の頭で考える』ということで、昨今議論を呼んでいる21の論点について、周辺的な情報と、出口さんご自身の考え方を提示することで、モノを考える上で必要となる情報の集め方と、その情報を元にして如何にして試行して行くかということについて、ティピカルな題材を使って具体的に示していくといった内容となっています。

 

 しかも、取り上げられている論点が、コロナ後の社会や、働き方、AIとの関わり方など、未だ様々な説が横行しているトピックだということで、情報の集め方だけでもかなりヘビーですし、どこに論拠を置くのかすら難しいと思えるトピックが多く、それぞれの論点だけでも1冊の本になりそうなモノで、それが20ページ前後に凝縮されて400ページ余りの大著になっているということもあり、久々に読了するのに数日かかる本となってしまいました。

 

 最後には、様々な課題について考えるための10の方針が挙げられていますが、出口さんが著書で再三おっしゃられている「数字・ファクト・ロジックで考える」を始めとして、実質的な思考をすることの重要性を強調されており、そのためにも学術論文等も含めて、情報収集の正否も重要であるということで、年金や財政問題など、この本で取り上げられているトピックの中でも、学説等を丹念に読み解けば、ほぼほぼ結論が出ているモノであっても、声の大きな人が自身の利害に基づく発言をしているのをみると、自身の考え方や情報収集に不安があれば、引きずられかねないこともあるということです。

 

 まあ、言ってみれば自分のアタマで考えるためのトレーニング集とも言えるモノで、それぞれのトピックについて自分なりの考え方ができれば、結構スゴイかも知れません…まぁ、出口さんのご意見を読んでしまうと、どうしても引きずられるんですけどね…(笑)