アンチ整理術/森博嗣

 

アンチ整理術

アンチ整理術

 

 

 森さんは多作でかなり締切も守られるタイプなんだそうで、そういうところを見込んだ編集者から、仕事術的な本の執筆依頼が引きも切らないということで、基本的にスケジュールに余裕がある限りは仕事を断らない森さんとして引き受けたものの、ご自身で実はあまり身辺を整理されるタイプだということを冒頭でおっしゃっています。

 

 しかも、その依頼をした編集者との「整理術」についての対談が、当初どうなるんだろう…と思うくらい噛み合わないのですが、何となく示唆に富んだ結論にしてしまうところがビミョーにスゴかったりします。

 

 大学の研究室に居られることが多かったということで、まあ大学のセンセイで机がキレイな人なんてほとんど見たことが無いように、森さん自身も趣味の鉄道模型関連のモノも含めて、かなりモノが散乱している状態にあるということで、「整理術」とは真逆であるのですが、部屋が散らかっている人がよく言うように、それがその人に取って秩序だった状態だということです。

 

 ただ、帯にあるように、机は散らかっていても、考え方のスジや行動に一貫性があれば、それほど実生活上困るワケではなく、そういう一貫性のために、自分に取って何が重要なのかという優先順位付けを常に意識していれば、それほど小手先の整理術に頼る必要ないんじゃないか、ということで“アンチ”整理術とされているのかな、という気がします。

 

 常に自分の価値判断を優先させるというのは、他人の目を気にすると意外と難しいところもあるのですが、個人的には今後そこを何とか貫いていきたいモノです…(笑)