昨日に引き続き五木寛之さんのエッセイです。
こちらは、1999年に一旦出版された本を再編して出版されたモノだということです。
『親鸞』など僧侶を題材にした小説を出版されていただけあって、これまで紹介したエッセイの中でも仏教的なエッセンスを織り交ぜることがあったのですが、こちらは『歎異抄』など親鸞の言葉を全面的にフィーチャーしたモノとなっています。
『人生の目的』とのタイトルなのですが、多くの人は確たる目的を持っていないんじゃないか、ということを指摘されていますが、それ自体その人が無為に人生を送っているからと言うワケではなく、運命や宿命に翻弄される中で、なかなか確固たる目的を維持し続けるのが難しいんじゃないかとおっしゃいます。
特に肉親との「絆」について触れられているのですが、東日本大震災以降やたらと「絆」が美化される傾向が強いんですが、必ずしもそれがいい方向にばかり作用するワケではないということで、母親に捨てられた父子が心中をした事例が取り上げられていて、父親に従わざるを得なかった子供の運命について語られています。
そういった中で結論としてあとがきに、「人生の目的」は「人生の目的を見つけること」なんじゃないかというトートロジー的なことをおっしゃっていますが、それでもミョーにナットクしてしまうんですが、如何でしょう!?