最後の講義完全版 適応力 新時代を生き抜く術/出口治明

 

 

最後の講義 完全版 適応力 新時代を生き抜く術

最後の講義 完全版 適応力 新時代を生き抜く術

  • 作者:出口治明
  • 発売日: 2021/03/01
  • メディア: 単行本
 

 

 NHKのTV番組『最後の講義』で出口さんがされた講義の内容を、番組内ではカットされた部分も含めて収録された本だということです。

 

 『最後の講義』という番組は、「知の最前線に立つスペシャリストたちが「もし今日が最後だとしたら何を語るか」という問いのもと、学生たちに対して講義を行い、それを番組にしたものです。」ということだそうで、実際に番組も見たのですが、講義の内容自体は素晴らしいモノだったのですが、やたらと講義をブツ切りにして、学生のコメントなんかをフィーチャーしてたんで、ビミョーにイラッとしていたので、完全版の出版はうれしいです。

 

 おっしゃっていることは、現在の日本の閉塞感やそれを招いた原因、そんな中で若い人たちが如何に生き抜いていくのかということを、「タテ・ヨコ・算数」「人・本・旅」など、出口さんの読者にはおなじみのフレーズを交えて語られています。

 

 ただ、「タテ(時間軸:歴史)・ヨコ(空間軸:世界)・算数」ということについて、「夫婦別姓」というティピカルなテーマを元に話されていて、イメージがしやすかったのと、「算数」という部分について、「数字・ファクト・ロジック」をいう、これまたおなじみの出口理論を元に語られていて、しかもそれを身に付けるための「人・本・旅」ということで、出口理論がかなり立体的に語られていて、かなり聴いている側からしてもスッと腑に落ちやすい語り方で、著者としてもかなり分かり易い本を書かれていると思っていたのですが、語り手としても相当優れていると感じました。

 

 特に若い人向けということなので、モノの見方を習得するための「人・本・旅」についてかなり具体的に語られているのが印象的で、よくおっしゃっている「本」の部分で古典を読むことをススメらているのはおなじみなのですが、「人」の部分で、ご自身が誘いを断らないことをモットーにしていることを引き合いに出されて、オープンな態度で人と接することで、幅広く見聞を得ることを勧められています。

 

 前半の講義部分もかなり印象深いモノなのですが、紙幅の半分以上を占める質疑応答がさらに凄みを見せています。

 

 印象的だったのが、決断に迷ったときにどうするか、という質問に対して、あみだくじを勧められているのに驚かされますが、それだけ決断に悩むようなことだったら、どっちに決めてもそんなに差はないでしょ!?とおっしゃるのですが、そういうことができるのは、大体の条件は想定するための膨大な知識や判断力をお持ちの出口さんならではでしょ!?とツッコミたくなりましたが…

 

 まあ、何にせよ、これまでも出口さんの圧倒的な教養に圧倒されてきましたが、さらなる高みを見せつけられたような気がさせられるモノでした。