続・孤独のすすめ/五木寛之

 

 

 話題をまいた『孤独のすすめ』に続編があることを知って手に取ってみました。

 

 『孤独のすすめ』が出版されたのが2017年ということで、東日本大震災を受けて「絆」がやたらともてはやされた反動なのか、その頃「孤独」を見直す動きがあったと記憶しており、下重暁子さんの『極上の孤独』などのヒット作もありました。

 

 やはり続編が企画されるだけの反響があったということなのですが、「孤独」ということについて「孤立」みたいな受け止めをする向きもあったようなのですが、そういう”誤読”を正す意味合いもあったようです。

 

 この本では”孤独の大家”である下重暁子さんとの対談が巻末に収められているのも興味を惹かれるところです。

 

 正編ではあまりなかったのですが、こちらでは仏教的な考え方も盛り込まれていて、解脱のために家族から離れたブッダや、隠遁を求めた西行法師のことを取り上げられていて、自分を深めるといった意味あいについて指摘されています。

 

 さすがにブッダ西行法師の例は極端だとしても、「孤独」といっても人を避けるという意味合いではなく、最低限の交流はありつつも、それに引きずられないという意味で「和して同ぜず」とおっしゃられているところに、深くナットクできた次第です。

 

 また、昔を懐かしむことについて、割とネガティブな意見が蔓延していますが、これまでの自分の来し方を振り返って反芻することについて、かなり意義があることだとおっしゃられているのも印象的です。

 

 下重さんとの対談でもそういった趣旨のことに触れられていて、「孤独」というのが「自らを慈しむ」とおっしゃられているのは、人付き合いに疲弊している人にとってはしみじみと染みてくるような気がするのですが…