池上彰のよくわかる世界の宗教 アメリカの宗教

 

池上彰のよくわかる世界の宗教 アメリカの宗教

池上彰のよくわかる世界の宗教 アメリカの宗教

  • 作者:池上彰
  • 発売日: 2016/11/30
  • メディア: 単行本
 

 

 『仏教』編、『キリスト教』、『イスラム教』編と紹介してきた『池上彰のよくわかる世界の宗教』ですが、「アメリカの宗教」編というのがあるということで、どんなものかと思って手に取ってみました。

 

 それぞれ個別の宗教を取り上げてこられたシリーズに、いきなり「アメリカの宗教」というのも唐突感がありますが、やっぱりキリスト教それもプロテスタントが大半を占めるアメリカではありますが、かつては「人種のるつぼ」と言われた(今は「サラダボウル」と言うそうですね!?)アメリカだけに、宗教の多様性が世界に及ぼす影響は大きいということで、敢えてこういうカタチを取られたのかも知れません。

 

 イギリス国教会により迫害されたプロテスタントアメリカ大陸に渡ってアメリカ合衆国建国に至ったということもあって、未だにアメリカ人の約40%がプロテスタントということですが、その後アイルランドから逃れてきたカトリックや、ナチスの迫害から逃れてきたユダヤ人など、様々なバックグラウンドを持つ人が集まった結果、そういう多様性を形成したようで、当初はカトリックユダヤ教も迫害を受けたようですが、それぞれがアメリカ国内で影響力を増していく中で次第に宗教に寛容な空気が形成された部分もあるようです。

 

 さらには過酷な差別でキリスト教に絶望した黒人が公民権運動の過程でイスラム教に傾倒していくということもあったようですし、アーミッシュモルモン教などの新興宗教にもつながっていったようです。

 

 信者の割合こそ異なるモノの、言ってみれば世界中の宗教のショーケースとも言える状況が、アメリカのグローバリズムを象徴しているのかも知れません。