学校、行かなきゃいけないの?/雨宮処凛

 

 

 最近頻繁に取り上げておりますが、こちらも「14歳の世渡り術」シリーズの1冊です。

 

 この本は、貧困などのテーマでの執筆活動で知られる雨宮処凛さんの著書なのですが、不登校の人たちがターゲットとなっています。

 

 雨宮さん自身、中学生の頃にはいじめも受けてかなり壮絶だったようで、リストカットを繰り返されながらも、学校に行き続けた結果、自殺寸前になり、自身も不登校という選択をしなかったことを後悔されているということで、読者に対して「あなたを大切にしてくれない場所にいてはいけない」と冒頭とあとがきで2回強調されています。

 

 4章で精神科医・松本俊彦さんが、そもそも学校は基本的に苦しいものだということを指摘されていて、それは学校は生徒の管理について、少数(先生)で多数(生徒)を冠するする手法として、暴力を含めた強制力を以って行う刑務所と軍隊をモデルにしているからだということで、フツーの神経の持ち主であれば苦しくなるはずだとおっしゃいます。

 

 ただ、社会全体で学校からドロップアウトしてしまうということは、社会の枠組みから外れてしまうことだという認識があり、そういう強迫観念が苦しくても学校に居続けてしまい、仮に自傷行動であっても発散の手段がある人はまだいいとすらおっしゃられていて、いきなり衝動的な自殺といった最悪の結果につながりかねないということです。

 

 雨宮さんは、そうやって居心地の悪さになれると、確かに社会の枠組みの中には居続けられるけれども、会社での理不尽に気づけなくなってしまい、過重労働やブラック企業のおかしさに気づけなくなってしまい、その餌食になってしまいかねないということで、それはそれで電通の高橋まつりさんのような悲劇を招いてしまうことがあるということなのでしょう…

 

 そんな中で、不登校という選択をしたとしても、そこで人生が「終わって」しまうわけではなく、その後フツーに社会人として生活している人を紹介しており、決して過剰なガマンをしないことを強く求めています。

 

 しかも昨今では、フリースクールやホームスクールと言う「迂回路」を紹介しておられて、そちらを通ったとしても起業したりして活躍されている人がいるということを指摘されています。

 

 確かにそういう逃げ道があるということを不登校の生徒さん本人が認識することも、最悪の結果を避けるという意味で重要ですが、そういう境遇にいる生徒さんの苦痛を和らげるためには、親や両親と言った周囲のオトナが、不登校をあってはならないこととする認識を改めることが肝要なようです。