小学校英語のジレンマ/寺沢拓敬

 

 

 日本における英語教育を研究されている方が、日本の小学校における英語教育導入の変遷について語られた本です。

 

 「ジレンマ」とタイトルが付いていますが、小学校で英語教育を導入するにあたっての数多くのステークホルダーの思惑の交錯と、その対応における施策導入の迷走を描かれています。

 

 そもそも小学校で囲碁教育を導入しようという動きの歴史はそれほど古くなくて、1970年代末位からのことだということですが、決定的になったのは1990年代初頭に経団連が英語を話せる人材の育成を望む旨の表明をしてからだということなのですが、ちょうとその時期はゆとり教育を導入しようとしてた頃で、当時の文部省としてはカリキュラムが増えるような施策の導入にはかなり消極的で、骨抜きをして総合教育の一環として導入しようとしたのがとっかかりだということです。

 

 ということで、あまり予算もつかず、楽しみながらグローバルに親しむということで、経団連や父兄が求める英語運用力の向上と言う目的な蔑ろにされてしまい、成果の測定もうやむやになってしまったということです。

 

 結局そのしわ寄せを受けるのがムチャ振りで英語教育を担うことになってしまったクラスの担任で、ロクな研修も受けることなく英語を教えるハメになってしまい、結局父兄の矢面に立たされかねない状況になってしまって大丈夫だったのかな、と心配になります。

 

 さらには、なし崩し的にそのままの耐性で5、6年生の英語科目化と3、4年生からの教育前倒しということで、如何に小学校の英語教育がおざなりで拡大されていったのかを糾弾されています。

 

 正直、英語を学び始めたら、8割方の生徒たちはその分英語が早くイヤになるのが関の山で、そういう効果の研究をせずに施策を垂れ流しても、リソースの無駄遣いにしか思えませんよね!?