病とフットボール/高原直泰

 

 

 2000年代に不動のセンターフォワードとして長らく日本代表を支えた高原選手が、2002年日韓W杯直前に患ったエコノミークラス症候群とご自身のキャリアを語られた本です。

 

 タイトルだけ見ると病気との闘いがメインテーマのように見えてしまいますが、そのトピックは1/4位で、その内容自体もかなり興味深いモノなのですが、この本が出版されたのが2007年なので、結局出場はかないませんでしたが2010年の南アW杯を目指している時点で、それまでの選手としてのキャリアについても語られているので、一粒で二度オイシイ内容となっています。(笑)

 

 2002年に高原選手がエコノミークラス症候群を患って、日本代表を離脱した時は、不動のエースだったこともあり衝撃が走りましたし、その当時はご本人も相当な落胆はあったようですが、まだまだ若かったこともあり、それなりに切り替えは早かったようです。

 

 その後、ドイツに移籍して日本代表選に関連して、また飛行機での移動が増え、2004年に病気が再発したということで、それ以降は毎日自分で血液が凝固しにくくなる薬剤を注射されていたそうで、相当ケアには気を遣われていたようです。

 

 また、高原選手は、その後香川選手や長谷部選手を経て、遠藤航選手に至るまで脈々と続く、ブンデスリーガにおける日本人選手の草分け的な存在になるワケですが、日本ではダントツの存在感を示していた高原選手であっても、なかなか成果をあげるのに時間がかかったことを語られていますが、どうしても日本人選手って器用に何でもこなしてしまうから、いろんなポジションをあてがわれてしまい、そのうちに自分の持ち味を見失ってしまうこともあるようで、そういう葛藤を経て、センターフォワードとしての存在感を確立した高原選手の存在感があるからこそ、その後に続く日本人の成功もあったんだろうなぁ、と思います。(同じポジションで、今苦闘している大迫選手にも同じようにもう一花咲かせてほしい所です。)

 

 返す返すも高原選手がピークの状態でW杯で大暴れできなかったのは、その実力を考えると残念でなりませんが、それでも日本のサッカー界に残した足跡は巨大なモノだったんだなぁ、と思い返した次第です。