見仏記/いとうせいこう、みうらじゅん

 

 

 仏像好きで知られるみうらさんが「仏友」いとうせいこうさんと仏様を見て歩いた様子をまとめた本です。

 

 奈良、京都の名刹から東北、九州の秘仏を訪ねた際のことを紹介されていますが、以前紹介したみうらさんの『マイ仏教』でも読んでいて同じような感覚を抱いたのですが、仏像をカッコいいとか、ヒップだとかセクシーだとかいった感じで、サブカル的なイメージで捉えられているのが印象的です。

 

 特に六波羅蜜寺空也上人像について、ラッパーと表現されているのが言い得て妙だなぁと思ったのですが、おそらく空也上人の踊り念仏は当時の人々に取って現代のラップのようにヒップなモノと響いていたのかも知れないと思うと、より仏教が身近なモノに感じられるかもしれないと思うとともに、布教のためにはそういう享楽的な要素もあったのかも!?と思わされます。

 

 また、よく菩薩像のセクシーさについては指摘されるところですが、腰回りのラインなどは明らかに女性のそれを意識しているとしか思えないものがあり、しばしばこの本の中で観音像や菩薩像のセクシーさが指摘されていて、人々を仏像に引き付ける要素として、荘厳さや神秘さだけでなく、ある程度下世話なアピールもあって不思議ではなかったんじゃないかと思い起こさせます。

 

 確かに仏像をありがたがる中で、そういう下世話な部分の指摘に眉をひそめる向きは分からなくもないですが、そういう空気が大勢を占めることが仏教の影響力の低下につながった部分もあるんじゃないかと思われ、こういうお二方の楽しみ方を無下に否定するのはどうなのかな、と思います。

 

 お二方がホントに仏像がお好きなのは、あまり目を向けられることの多くない、明王像に踏みつけられている邪鬼にまで言及されているところで明らかでしょうし、こういうポップな楽しみ方が広がっていけば、より仏教が活性化するのかも知れませんね!?