折れない心/野村忠宏

 

 

 アトランタシドニーアテネ五輪の柔道60Kg以下級で三連覇を成し遂げた野村忠宏さんが、靱帯断裂の大けがの影響もあって北京五輪の代表から落選し、再度ロンドン五輪を目指すべく現役生活を継続されることになった2010年時点で出版された自伝的な著書です。

 

 実はワタクシの現在の居住地は野村さんの出身地で、うちの町内では野村さんは押しも押されぬヒーローだったりします。

 

 ロンドン五輪を目指す過程がドキュメンタリー番組で放送されて、あまりに壮絶な取組が印象的で、相当ストイックな印象があって、3連覇した後の大けがでの北京五輪断念ということで、フツーそこで辞めちゃうでしょ!?と思いますし、それだけ競技人生へのこだわりが強いんだと思いましたが、最初に出場されたアトランタ後は、勢いだけのマグレの金メダルと思われるのがイヤでシドニーでの連覇を志したということですが、シドニー後にアメリカでの生活など1年のブランクがあったように、結構現役生活継続への逡巡があったようです。

 

 アテネ後もそのまま引退という選択肢もあったはずなのですが、結局は”やり切った感”がなく現役を続けられたということで、ケガに苦しみながらも、柔道家としての高みを見られていたようです。

 

 そういう姿勢のベースに、柔道を始めた時のおじいさまの柔道を楽しむという教えがあるようで、現在でも野村さんが柔道を始めた道場でお父様が始動されているということですが、金メダリストを輩出したとか、そういうこととは関係なく、楽しく柔道をされているところが、爽快に感じます。