アクティブ・ラーニングとは何か/渡部淳

 

 

 2020年度からの新学習指導要領の実施スタートにより、知識偏重の教育から「生きる力」を養うための理解力や応用力の向上を目指す教育の中で注目されているアクティブ・ラーニングの取組の現況を紹介された本です。

 

 著者である渡部さんはアクティブ・ラーニングのプログラムの開発や普及に取組まれているということで、アクティブ・ラーニングの日本での導入の経緯や現況、普及に向けた課題などを語られています。

 

 現在においても、生徒全員が先生の方を向いて、主に先生が生徒に対して教えて、生徒の方は先生に差されて回答する時以外は先生の説明を聞いているというのが一般的な日本における学校での授業でのスタイルだと思うのですが、新指導要領では生徒の自律的な学習を促すということで、欧米で行われていたディスカッションやディベートみたいなモノを取り入れて行ったのが日本でのアクティブ・ラーニングのはしりだったとうことなのですが、どうしてもディスカッションやディベートの習慣が希薄な日本ではなかなか定着しなったようです。

 

 そんな中で、海外の事例を参考にしつつも日本人が受け入れやすいような形でのアクティブ・ラーニングの開発を進められてきたということで、試行錯誤しながらもドラマワークやプレゼンテーションなど様々なフォーマットによる実践をされてきたということです。

 

 その前提となるのが、自律的な事前調査であるリサーチであり、自ら課題や仮設設定をした上で、その証明のための調査を話し合いながら進めていくということで、能動的な姿勢ひいては学習意欲の促進という効果があったということです。

 

 ただ、効果的なアクティブ・ラーニングプログラムの開発はなかなか困難であると同時に、その実施についても教師の資質や負荷に依存するケースが多く、如何にしてそういう体制を整備して行くのかというのが、重要な課題として残っているということです。

 

 ではあるものの、こういう教育の普及が、どうしても受け身になりがちだった日本人の様々な側面での姿勢を改めることにもつながる可能性が高く、日本社会全体の活性化への期待ということもあり、是非とも国家を挙げて普及につなげたいと感じた次第です。