大人になって困らない語彙力の鍛えかた/今野真二

 

 

 昨日に引き続き『14歳の世渡り術』の1冊を紹介します。

 

 「語彙力」を鍛えるって言うと、多分英語の語彙数を増やすことを思い浮かべる人が多いんじゃないかと思うのですが、この本では日本語の語彙数を増やすことがテーマとなっています。

 

 先日紹介した榎本博明さんの『読書する子は○○がすごい』の中で、読書が語彙力の増強に役に立つことには触れられていましたが、じゃあ、具体的にどうやって語彙力を鍛えるかということを多くのオトナはコドモに説明できないんじゃないかと、この本を読んでいて、ちょっとギモンに思いました。

 

 というのも、確かに読書は語彙力の向上につながるのは間違いないのですが、ただやみくもに読書をしたからと言って、語彙力の向上に直結するワケではなさそうで、それなりに考えて読む必要はありそうです。

 

 一口に言ってしまうと、本の中に出てくるコトバで、ちょっとその意味合いに引っ掛かったモノがあれば、それをどう言い換えてみるか、言い換えて意味がどう変わるか、ということを評価できるか、ということが真の意味での「語彙力」につながるようです。

 

 例えば、「彼は敏感ではありません。」と「彼は鈍感です。」の二つの意味するところは概ね同一ではありますが、例えばそのコトバを受け取った人の感じ方まで同一化と言うと、必ずしもそうではないはずで、そういう細かいニュアンスみたいなモノをキチンと理解しておくということを積み重ねておくと、自分が何らかのことを伝えたいと思ったときに、最も伝わり易い表現を選択することができるはずだということで、コミュニケーション面でもかなりのアドバンテージを得ることができるはずなので、「語彙力」が単なる知識面だけではなく、生きて行く上でのあらゆる側面に役立てることができるモノだという認識を持った方がよさそうです。

 

 ということで、英語の「語彙力」についても同様のことが言えそうで、単語集を買って、英単語→日本語訳という1対1の関係で意味を覚えて、テストには多少役に立っても実用上あまり意味はないどころか、むしろ害悪さえあることを覚えておいた方が身のためかも知れません。