出口版学問のすすめ/出口治明

 

 

 昨今、”知の巨人”としての評価を確固たるモノにしつつある出口さんですが、その出口さんが語る、学びに纏わる様々なトピックを語れた本です。

 

 出口さんはかねてから著書の中で、「人・旅・読書」と繰り返しおっしゃっておられて、様々なカタチでの学びを勧められていますが、各界の学びのエキスパートとの対談も交えて、学びの意義と愉しみについて語られています。

 

 「人生100年時代」が叫ばれるようになって、一旦社会人として働き始めてからも、折に触れて学ぶことの必要性が唱えられてはいますが、多くの日本人は学ぶことの楽しさを味合わないまま、詰め込みの受験勉強に終始していることもあって、なかなか教養を深めるような勉強にはつながらないというのが実態のようです。

 

 しかも、そういう詰め込み的な学習を解消して、自律的に考えることができるようなカリキュラムが標榜されてはいるモノの、なかなか実態が伴わないということで、そういう部分を含めて、どういう風に国民の学びを促進していくのかということについてのグランドデザインがないと、どんどんとグローバルな競争から取り残されていってしまいそうです。

 

 そういう功利的なことは置いておいたとしても、人間というのは学びの先に何か人生を豊かにするようなモノがあれば、すすんで進んで学ぼうとするものだということですが、多くの人がそうはなっていない現状を見ると、そういう意識づけがまだまだ進んでいないということなんだと思えます。

 

 特に、若いうちにそういう学びの楽しさを体験することは、先々の人生においてかけがえのない財産になるはずで、国を挙げてそういう取組を進めて欲しい所です…