体育会系上司/榎本博明

 

 

 昨日に引き続き榎本さんの著書ですが、今回のテーマは「体育会」的な体質の弊害です。

 

 この本が出版されたのが、日大アメフト部の悪質タックル事件や、日本ボクシング協会日本体操協会におけるパワハラの露呈といった、体育会系の組織における不祥事が連発した時期の直後で、体育会系組織とパワハラ的な体質の相性の良さがこういう腐敗を生む温床となっていることを指摘されています。

 

 体育会系の組織というと、その構造は軍隊での上意下達的なコミュニケーションが基本であるため、下位者としては上位者の意図に忠実に沿ったカタチでの行動が要求されるため、忖度のように過度に上位者の意図を斟酌したような極端な行動も現れてしまうようで、そういう部分がパワハラに寛容になったり、イジメといった陰湿な行動にもつながるということです。

 

 先日紹介した出口さんと上野さんの共著『あなたの会社その働き方は幸せですか?』で、日本企業の権威主義的な体質が閉塞感につながっているということを指摘されていましたが、そういう権威主義的なところは、体育会系的な体質が多くの日本企業において、色濃く影響を残しているからだと指摘されています。

 

 ワタクシが就活をしていた頃はもっと顕著だったのですが、特に大企業であるほど体育会系出身者を好んでいたのは、こういう権威主義的な体質に抵抗が無いという部分が評価されている側面があるとおっしゃっています。

 

 ということで、大企業ではそういう体育会系的な上司に遭遇してしまうことが多いということで、この本もサブタイトルをみると、トリセツ的なことをおっしゃっていますが、実際には最後の1章で10数ページ触れられているのみで、それもウマく調子を合わせておく程度の内容なのであまり実効性はなさそうです。

 

 ということで、まだまだパワハラ的な体質というのは受け継がれて行ってしまうんでしょうかねぇ…