ぼくは会社員という生き方に絶望はしていない。ただ、今の職場にずっと……と考えると胃に穴があきそうになる。/フミコフミオ

 

 

 この本、タイトルが気になって手に取ってみたのですが、中間管理職サラリーマンの悲哀をつづったブログ『Everything you've ever Dreamed』をみたKADOKAWAの編集者の方が声をかけられて、ブログでの投稿を元にして執筆された本だということです。

 

 この本の終盤で、「まさか、自分がサラリーマン川柳でたびたび描かれる、哀しい扱いをされる人間になるとは想像もしなかった。」と書かれているのですが、どこかこの分がこの本全体を象徴するように思えます。

 

 この本を書かれている時点で45歳だったということで、会社の中で無責任な上司と無極な後輩の板挟みになっていたり、割と強めの奥様にビミョーに圧迫されていたりと、絵にかいたような中間管理職の悲哀ですが、文章の端々からにじみ出るサブカル的なシニシズムに魅了されて、しかもワタクシ自身も少し上の年代だということで、身に詰まされながら、300ページ超の比較的ボリュームのある書籍ながらもイッキに読了してしまいました。

 

 確かに、正論で目の前の上司やら後輩やら奥様やらをブッた切るのは一瞬のカタルシスなのかも知れませんが、そのあとに想像されるもっともっとメンドくさい状況を考えると「弱った胃に負担をかけて」耐えるという選択をすることになるそこはかとない悲哀を描かれます。

 

 ワタクシ自身、随分長く単身赴任をしていたこともあって、少なくとも自宅での悲哀からは多少遠ざかっていたという側面はありますが、この投稿がアップされる頃には本格的に自宅に戻っているはずなので、この本から得た教訓を元に「弱った胃に負担をかけ」るよう心がけようとおもいます。