「定年後」の”お金の不安”をなくす/大江英樹

 

 

 以前このブログでも『定年男子定年女子』『老後不安がなくなる定年男子の流儀』を紹介した、老後のおカネに関する内容の講演などをされている方の著書です。

 

 ワタクシもそういうことが気になり始めるお年頃ということで、この手の本をかなり読んでこのブログでも紹介してきましたが、概ね、リタイア後の収入を知る、その収入に見合うように支出を見なおす、それでも不足する部分については軽めに働いて補う、ということで、大体共通しているので、ボチボチこの手の本も打ち止めかなぁ、とは思っていながら、やはり不安な部分は払拭し切れないのでついつい手に取ってしまうワケですが、ちょっとこの本は毛色が違います。

 

 上記3点の論点については違いが無いのですが、そもそもそんなに不安を覚える必要があるのか!?というギモンを呈されていて、そういう”不安”の素となっているのは、この手の本が、却って”不安”を煽っている側面があるんじゃないかとおっしゃられています。

 

 現に、大江さんが講演などで接した方で、既にリタイア後の人々からはそれほどおカネに関する不安を聞くことはないそうで、リタイア後は会社勤めの時期と比べると、外に出る頻度が減るということもあって、呑みに行ったり外食をしたりという頻度がかなり減ることもあって、時間ができたから頻繁に旅行に行くなど、余程派手なことをしない限りは、ある程度自然に支出が減っていくことが多いからだということもおっしゃっています。

 

 しかも、年齢に合わせて不要になった保険の整理をするなど、意識的に固定的な支出を削減することなども併せれば、年金だけでもそれほど不足することはないのではないかとおっしゃいます。

 

 ただこの本の前提として、リタイア時点で子どもの子供の教育に関する支出と住宅ローンの返済が概ね終了しているということを挙げておられて、この2点を満たさない人はある程度、そういう部分の考慮が必要だということです。

 

 最終章で、リタイア後は「お金持ち」であることよりも「幸せ持ち」になるようフォーカスを変えることを勧められているのが印象的で、「お金」にフォーカスするよりも「幸せ」にフォーカスすることでむしろ、そういう不安が減るんじゃないかというご指摘は、斬新に感じるのですがナットクできるところの多いモノでした。