世界で稼ぐ人中国に使われる人日本でくすぶる人/キャメル・ヤマモト

 

 

 この本、2011年に出版されて本なのですが、当時特に「中国に使われる人」の部分が刺激的で話題になったのを記憶していますが、ちょうどその年にGDPが中国に抜かれて3位に転落しても、それでもまだ中国人に使われるということにピンとくる日本人は少なかったんじゃないかと思いますが、今や痛切にその意味をかみしめる日本人は多いと思いますし、まだ中国企業に拾ってもらえるだけマシということもありますし、そういう意味でこの本のタイトルは10年先を行っていたとも言えそうです。

 

 ちょうどこの頃、当時のゴーン会長による日産の立て直しが軌道に乗り、楽天ユニクロのファーストリテーリングといった先進的な日本企業が英語の公用語化を打ち出すなど、日本企業においてもグローバル経済に乗り遅れるまいという動きが顕在化してきたということもあり、そういう流れに対応した人材になろうということを進める本が数多く出版されていたと記憶しており、そういう流れの中の1冊と言えます。

 

 当時は語学がやたらとクローズアップされていた記憶があり、この本もその流れに乗って語学面のことにも触れられていますが、この本ではそれに止まらず、日本人、特に男性の多くがニガテとすることの多いコミュニケーション能力の向上に触れられており、あくまでも語学もその一環だという位置付けをされているのが、当時としては先進的だったのではないかと思います。

 

 あと、グローバルに活躍する人材の必須条件として、リーダーシップと専門性について触れられているのですが、おそらくこの本自体、これから社会出ようとする人たちをターゲットにしているように伺得られることから、かなり条件を緩めに設定されていると思われます。

 

 この本の出版から10年が過ぎて、昨今では世界史やワインなどあらゆる分野がグローバルスタンダードとして身に付けるべきこととして挙げられ、何をとこまで身に付ければいいのか、うろたえるばかりの人も少なくないんじゃないかと思いますが、そういう情報に惑わされないというのも、重要な資質なのかも知れませんね!?(笑)