知識ゼロからの現代史入門/青木裕司

 

 

 先日、麻雀マンガで知られる片山まさゆきさんとの共著『サクサクわかる現代史』を紹介した河合塾の人気世界史講師の青木先生にこういう著書があるのを知って手に取ってみました。

 

 この本では第二次大戦後の「現代史」をソ連の興亡とアメリカとの冷戦、中国、中東、ソ連崩壊後のアメリカという4つのパートで紹介されています。

 

 この本の出版が2002年と20年近く前なので、中国についての内容が天安門事件で終わってしまっていて、昨今の発展までカバーできてなくて、ソ連の崩壊を受けて、アメリカが唯一の超大国という位置付けのところで止まってしまっていますが、それだけに歴史を感じるところもあります。

 

 個人的には大学生のころにペレストロイカから、ベルリンの壁の崩壊~東欧の共産政権の瓦解、ついにはソ連自体の崩壊というのをリアルタイムで体験してゾクゾクしたのを覚えていますが、青木先生自身、ベルリンの壁ができるところからリアルタイムで体験されているということで、そういう生々しさが活かされていて、どこか活劇を見ているように現代史を語られていて、よくできた小説を読んでいるかのように現代史の流れに飲み込まれていくような気がします。

 

 特に、情勢が複雑であまり日本人に縁が深くない中東情勢は理解しにくい部分があるのですが、こちらも見事な語り口で立体的なイメージを描けるほどに理解ができるモノとなっています。

 

 是非とも、ごく最近の事象までカバーしたモノを読みたいところです。