この数字がわかるだけで日本の未来が読める/高橋洋一

 

 

 菅内閣内閣官房参与に起用されながら、日本のコロナ禍を諸外国と比較して”さざ波”と表現したことをキッカケに辞任に追い込まれた経済学者・高橋洋一さんの著書です。

 

 まあ、あの発言に対して「言わんでもええことを…」とは思ったモノの、割と数字とファクトを重んじる姿勢には好感を持てたので、興味があってこの本を手に取ってみたのですが…

 

 元々高橋さんは財務省で統計に関わる仕事をされてきた言うことで、日本の官庁においては数少ない統計のエキスパートだったということで、日本の政策判断において、諸外国と比べてあまりに統計が軽視され、この本が出版された2019年には厚労省において、統計不正が大きな問題となったことを一例として取り上げておられます。

 

 また、野党やメディアも数字の根拠に基づかない批判が多すぎるということで、いちいちナットクなお話なのですが、その論法で行くと、そういう野党やメディアの批判に対して、徹底的に統計上の数字やファクトで反論すると思いますよね!?

 

 確かにある程度はチラチラそういう数字をチラつかせはするものの、あまり徹底されておらず、結構肩透かしというか、カンバンに偽りありな感じでかなり残念な感じです。

 

 特に人口減少が経済成長と相関関係が無いんじゃないかという問題提起について、安倍元首相のダボス会議での演説を後方支援するようなご意見を開帳されているのですが、ごくごく短期的な動きを取り上げるにとどまっていて、これだとどこまで人口動態と一人当たりGDPの相関があったかを確認しようが無いだけなんじゃないの!?とツッコミたくなるようなビミョーな援護射撃をされています。

 

 結局は自らを重用してくれた安倍礼賛がしたかっただけ!?とアンチ安倍なワタクシなどは邪推したくなる内容が満載の本だったりします…(笑)