殿様は「明治」をどう生きたのか2/河合敦

 

 

 先日『殿様は「明治」をどう生きたのか』を紹介しましたが、あまりにオモシロかったので、速攻続編を手に取ってみました。

 

 正編がやたら”佐幕”な感じだったのですが、続編も、ビミョーにバランスの調整は働いているものの、どちらかというと旧幕府側にウェイトがあるのは相変わらずで、話としてオモシロいからなのか、河合センセイご自身が旧幕府側にシンパシーを感じておられるのか、そういう優先順位が河合センセイの中にあるようです。

 

 ただ、前回新政府側の主要メンバーでありながら慶喜に同情的だった山内容堂が取り上げられていましたが、今回は新政府側の主要メンバーのひとつである肥前藩鍋島直大が取り上げられています。

 

 モチロンすべての藩主が該当するワケではないのですが、この頃の殿様にはかなり有能な人材が多かったようで、新政府よりのスタンスだった鍋島直大しかり、宇和島藩伊達宗城しかり、あの時代によくぞあそこまで開明的な情報を入手出来ていたことに驚きますが、維新後も大いにその才能を発揮されていたようです。

 

 まあ、そういう人ばかりだけではなく情勢に翻弄されて、その場その場で場当たり的な対応に終始した「最後の老中」小笠原長行も紹介されているのですが、若くから幕閣で辣腕を振るわれたにも関わらず、そういう優柔不断さを発揮してしまう所に時流の恐ろしさというものも感じます。

 

 正編でも殿様と領民の結びつきの強さについて触れられていることを紹介しましたが、一旦廃藩置県後に旧領主が東京に集められた後に、多くの殿さまたちが旧所領に戻ってかつての家臣や領民との旧交を温めていることを紹介されているのが印象的で、今の我々の印象からすると想像ができないくらい深いつながりがあったことを改めて強調されています。

 

 また、この後「お姫様」編も出版されたようですので、近いうちに紹介したいと思います。